親知らず抜歯後麻痺が出ておりとても不安です。
- はじめまして。
2月7日に人生初の親知らず抜歯をしました。
場所は右側下の親知らずで、比較的まっすぐ生えていましたが舌側に倒れており、神経を巻き込むような形の根っこでした。完全に埋まっており、歯茎の切開が必要なこと麻痺が出るかもしれないと説明も受けました。当日は手が震えるほど怖く、担当の先生はちょくちょく休憩を挟みながら綺麗に全て抜いてくれました。
その後2日分の化膿止めと、10日分のロキソプロフェン、頓服薬10回分を渡され家に帰りました。抜歯後、麻酔が切れる頃には既に下唇から顎のあたりにかけて麻痺が出ており、3日目位まで痛み止めが切れる頃に目が覚め、痛み止めを飲んでも涙が出るほど痛いとういうような日が続きました。
4日目で痛みは痛み止めでどうにか我慢できるくらいにはなったのですが、37.9の熱が出て、抜歯後2日目くらいから右のこめかみがつきつきするような頭痛が出てきました。麻痺に関しては、病院に行きビタミンの薬と点滴を打ってもらっています。
口の中腫れており食事もままなりません。
ここ4日位はプリン、ヨーグルト、おかゆが限界でそれだけ食べています。2月12日は祝日で病院がやっていないので、13日に病院には行くつもりでいますが、ネットで調べると感染症がとか致死率が20%とか怖い記事が多くとても不安です。
本当に治るのか、治るとしたらどれくらいかかるのだろうか、栄養失調になっていないか、親知らず抜歯で死んだりしないか、変な質問だと重々承知していますが相談させてください。
- こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
このたびは大変な思いをされましたね。まず歯科医師としてではなく、人として申し上げます。お辛かったですね。かわいそうに。少しでも心落ち着く言葉が贈れたら、医療人として幸いです。
回答させていただきますが…まず、当院また開業以前の私の20年以上、数千に達する症例の中で…亡くなった方は、1人もいらっしゃいません。極論すれば、外科処置の術後感染で亡くなる方というのはもちろんいらっしゃいますが…あなた様ぐらいお若い方で、(相談いただいたメールからはわかりませんが、おそらく)健康な方であれば、「まず、ない」と思われます。病院まで行かれてるのであれば、もしそんな万が一のリスクがあれば、緊急入院などを勧められているはずです。その点、心配され過ぎないで下さい。
次に「強い痛み」ですが…これには、様々な原因があります。術前〜現在の状態を拝見しておりませんので断定的な事は申し上げかねますが、当院でも年間数百という親知らず抜歯を行う中、数年にお一人ぐらいの頻度で「強い痛み」が「2〜3週間」続く方がいらっしゃいます。確かに、感染もその一要因になり得ますが…この場合、患部から膿が出たり、リンパ節が腫れるなどの症状がその症状になります。もし感染なら、抗生物質の投与継続(症状が強い、あるいは経過がよくない場合は点滴等も)という対応も一つです。通常、若い健常者であれば…時間はかかっても…まずそれで治癒することが多いでしょう。
顎の開きにくさや発熱も、大きく言えば「炎症」によって起きます。炎症とは基本的に「発赤(赤み)、熱感(熱っぽさ)腫脹(腫れ)、疼痛(痛み)」の四つとされていますが、そのそれら以外に「機能障害(本来その器官や臓器が果たすべき機能が支障をきたす)」が起きることがあります。これらは、体からのサイン…「いまここを働かせないで!治すことにエネルギーを使わせて!」というサインで、強ければ強いほど、復旧に時間がかかるという目安になります。
多くの症状が、より強く出ているという事は、それだけ炎症が強い、という事は間違いない、と言えるでしょう。時間が必要にはなると思われます。
麻痺に関しては、やはりそのリスクは有ります。親知らず抜歯の際の麻痺の確率は、一般的には5〜7%程度かと思われます。…実は当院の症例における発現率はそれよりかなり低いのですが…、それでも0では有りません。医療行為として、条件的にそのリスクを「全く避ける」事はできません。これに関しては、徐々に回復することが多いですが…その原因によります。半年経って治らなければ、一生残る確率が高くなる、と言われていますが…その後も、年単位かけて回復することも有ります。繰り返しになりますが、時間をかけて見ていく必要が有ります。ですが、麻痺があるからと言って、通常は直接命に別状はないと推測されます。
いま、例えて言えば…「思ったより高く険しい山に登山することになり、下山に時間がかかっている」あるいは「下山しようと思ったら突然ひどい悪天候になり、慎重に降りざるを得ない」といった状況だと思って下さい。周りに助けれくれる人がいれば、遭難する事はないはず…ですよね?
慌てないで。心配し過ぎないで。そういう時こそ落ち着かないと…ですよね?
術後の口腔内の症状、発熱などの症状、またX線画像診断なども必要なら診てもらって、しっかり安全に下山して下さい。状況によって、必要な手助け、手当をしてくれるはずです。
心配事があったら、恥ずかしくもなんともない。診てくださってる先生に、率直に、何でも相談されて下さい。それに答えてあげることも、大切な治療の一つですから。
医療人として軽はずみなことは申し上げてはいけませんが…このメールをいただいたのもご縁、一期一会。その気持ちの(なおかつ専門知識と実績のある)友達として励まさせていただくのなら…「きっと大丈夫。治るよ」。
自分が施術した症例ではないので無責任なことを言うべきでは有りませんが…お節介な私は、直接拝見してあげられれば、と思わずにはいられません。
では、本当にお大事になさってくださいね。