不定期更新 歯のおはなし〜象の歯編〜

こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
さて、人間の歯の大切さをよりよく知っていただくために、時折人間以外の歯のお話をしておりますが…比較的小型の草食動物であるうさぎと、大型肉食動物の代表としてライオンの歯については話させていただきましたね。
今日は、大型草食動物の一種である象の歯のお話をしてみたいと思います。ここではその代表として、アフリカ象を採り上げましょう。
さて、その象。体重は雌で4トン、雄で6トン…大きなものですと8トンにもなるといいます。自然界ではその寿命は70年ほどにも達するそうです。
食べ物は、草、植物の根、種子、果実等です。
同じ草食でも、例えばコアラはほぼユーカリのみ(時々アカシアやティーツリー)を食べるそうですが…象は150種類以上の植物を食べるそうです。その巨体を維持するため、食べる量は200〜300kg/日、飲み水の量も100l/日に達するといいます。それだけ食べると、少ない種類の食べ物に依存していたら、万が一その植物があまり育たなかった年や絶滅してしまったら生きていけませんからね。短期的には干魃や、長期的には大きな環境変化に大型動物が先に、より大きな影響を受けやすいというのが、食べ物の量を聞くと納得できますね。
ここで、植物と動物の違いをおさらいします。ご存知の方も多いと思いますが、「細胞壁があるか、ないか」ですね。細胞壁とは、細胞周囲を守る硬い壁のことです。野菜を噛むと、お肉やお魚に比べて「シャクシャク」した食感がありますね(余談ですが動物は、細胞表面の硬い細胞壁を脱ぎ捨てることでやがて「移動」という手段を手に入れ、より良い環境に自ら移り住んでいくことができるようになった…そんな側面もあるのではないか…私は想像しています)。
草食動物は細胞壁を壊して内部の栄養をしっかり採れるよう、肉食動物よりも、臼歯…すり潰すための、いわゆる奥歯が発達しています。その臼歯も、象のように大量に食べ、さらによく噛んでいれば、次第にすり減っていきます。もし象の歯が、人間と同じ様に一生で2回しか生え変わらなかったら…おそらく体が寿命を迎えるより早く、歯が寿命を迎えるでしょう。自然界には、歯が弱くなったり失われた時にでも食べられる様に加工する「調理」という手段はありません。つまり、歯がなくなれば食べられなくなる=栄養摂取が困難になる…自然界での歯の寿命は、命に直結しています。
このため、象の前歯はネズミと同じように一生伸び続け、奥歯は一生で6回生え変わるそうです。その生え方も興味深く、奥から前にベルトコンベアのように生え変わります。その奥歯の形は、本当に洗濯板のよう…だと、例えが古いもの過ぎてわかりにくいでしょうか(私も本物の洗濯板は見たことがありません)。別の例えをすると、卸金に近い形状をしています。本当に、すり潰すのに最適に進化した臼歯です。
こうして歯の寿命にも支えられて、象は平均70歳まで生き続けられるということです。そして最後の歯が抜け落ちる頃、象はその寿命を終えます。まさに、「象の生涯」は「歯の生涯」と共にあるのです。
このコラムを作成するために確認で調べ物をしておりましたら、ネットで面白い記事を見つけました。2006年、中国のある動物園の象にもっと楽しく長生きして欲しいと、入れ歯を作ってあげるという試みがあったそうです。その後どうなったかは、残念ながら分からなかったのですが…「噛める幸せ=QOL」や「お口の健康」と「長生き」には、切っても切れないほどの深い関係があるということを、この動物園の関係者の方々はよく分かっていたということですね。
人間でも、歯がどれだけ揃っているかと健康長寿や心の元気にまで相関関係があることが分かっています。また天然の歯でなくとも、よく合った入れ歯やインプラントなどで噛み合わせがしっかりと確立されている場合も、同じ様に心身の健康に多大な好影響を与えると言われています。ですが…私達 歯科医療施設が作る人工の歯は、流石に「天からの授かり物」である天然歯には、いろんな面で敵いません。
そしてその人間の天然歯の生え替わりは、一生にたったの2回…乳歯と永久歯しかないのです。しかも人間の永久歯は、12歳前後で生えて揃い、それから「口腔内」という生体最大の感染リスクエリア…その過酷な環境の中で、途方もなく長い間、「咀嚼と審美」という大切な役割を果たすことになります。現在、人間の寿命は伸び続け、一説にはいまの若者は半数が100歳まで生きると言われています。半分が100歳なら、比較的早期に寿命を迎える人でも90歳まで生きるのは当たり前。ざっくりそう推測できます。象も長生きですが、人間はさらにその先を行くのです。
つまり、もしあなたが自分自身の歯で生涯おいしく食べたければ、永久歯は90年もの永きに渡って守らねばならないもの、というになります。
大切な、あなた自身の歯を守るために。三木照久歯科は真剣に、しっかり寄り添い続けます。
また、お口の健康管理を続けていても不幸にも歯を失ってしまった方にも、三木照久歯科は全身全霊お力にならせていただきます。
一生歯の健康を守りたい方、生涯おいしく食べて、美しく生きることを捨てたくない方。どうぞ三木照久歯科にお任せください。

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