7月22日に右上下の親知らず抜歯をしました。経過は良好だったのですが、口だけが開かず2週間経ちました。
- 7月22日に右上下の親知らず抜歯をしました。
右下は斜めに生えているのでなかなか時間かかりました。
経過は良好だったのですが、口だけが開かず2週間経ちました。
人差し指一本分しか入りません、、。
口が痛くて開かないというより、開けられないという感じです。
咀嚼すると右のこめかみらへんも痛みます。
これは顎関節症になったのでしょうか?? - こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが…お口が開かないと、心配もさることながら不便だし、お食事やおしゃべりにも支障を来してストレスが溜まりますね。お悩みにお答えすることで、あなた様が少しでも心落ち着かれましたら幸いです。
さて、「上下の親知らずの時間を要した抜歯後、口が開きにくくなった」とのことですが…その症状は処置に伴い起こる時と起こらない時がありますが、親知らず抜歯「あるある」の一つではあると言えます。
抜歯後に(処置自体に問題がなくとも、人体の反応として)起こり得る症状として代表的なものは「痛み」や「腫れ」ですが…頻度はそれより低いですが、今回のように「お口が開きにくくなる」ことがあります。これを、「開口障害」と言います。
開口障害の原因には様々ありますが、今回のケースでは二つの要素が大きく影響しているかと思われます。一つは、抜歯は外科処置ですから、(人体をより健康に導くためとは言え)単純に「怪我」をしていると言うこと。そして相談いただいた内容の情報からもう一つ…「抜歯に時間がかかった」という部分は、影響を与えた可能性があるかと推測します。それだけ困難な抜歯で、力もいろんな方向に加わったのではと思われます。
親知らずの生え方や向き、根の長さ•太さや形、神経との位置関係によっては、抜歯に時間がかかることはあります。そして骨の硬さ等によっては、一定以上の力をかけることが必要な場合があります。
この際、上顎の骨は頭の骨と一体化していますが、下顎の骨は上顎から筋肉で宙吊り…いわばブランコのようにぶら下がっているので、処置の時に一定以上力が加わると、その宙吊り部分…顎の関節(耳の穴の前辺りにあります)が捻られ、間接的に応力が及ぶことが避けられない場合もあります。
こういった際、まず長時間お口を開けているだけで、単純に「疲労」が起こるということ。そして…例えて言うと捻挫のように、顎の関節が口の開け閉めの際に痛くなったり、「機能障害(器官や臓器が、本来の機能を果たせなくなること)」を起こし、開け閉めそのものに支障をきたす…これが、開口障害です。
「顎関節症か」?というご心配に関しては…顎関節症とは、原因が何であれ顎の開け閉め時の「疼痛(痛み)」「ノイズ(ゴキゴキ音やジャリジャリ音)」「開口障害」が三つ揃った病態を指しますので、「外傷性」の顎関節症という見方もできるかとは思います。
その場合、先に述べたように捻挫のようなものですから…顎をなるべく安静にしておいてくだされば、徐々に治ってくる可能性が高いです。術後2週間経ってまだ人差し指一本分というのはかなり強く開口障害が出ていると思われますが…1ヶ月程度、経過を見てみてください。少しずつは回復してくると思われます。
ちなみに、当院での親知らず抜歯でも下顎の症例では一時的な開口障害を伴うことはあります。ほとんどの場合は徐々に回復し、2週間程度でほぼ日常生活で支障ない程度に治りますが…長引く場合は3週間、稀に4週間かかる場合もございます。
教科書的には、「ごく稀に、最終的に開口障害が残る場合もある」と言うことになりますが…当院のケース(勤務医時代も含めれば、私の行った全てのケース)においては、治らなかったことは一度もありません(残りの歯科医師人生の中では経験することもあるかも知れませんが)。そういったことも、術前に口頭や書面で必ず説明をしてから処置を行っています。
少しずつ回復してくるようなら、くれぐれも無理しない範囲で以下のことも試してみてください。
「すぐ上下に口を開けようとせず、まずアイーンと顎を前に出してから、ゆっくり上下に開けてみる」。これを、いきなり大きくしようとせず、「私の顎、昨日より1ミリ大きく動いてくれるかな?」と心で問いかけるようにやっていってみてください。回復の助けになるかも知れません。
どちらにお住まいの方かの情報が相談メールに記載ありませんでしたが、お節介の私は一度拝見して、直接お力になれたらなあ、という思いでいっぱいです。
では、本当にお大事になさってくださいね。