子供の歯の外傷

昨日のお昼すぎ頃、プラスチックのテーブル付きローチェアに座り離乳食を食べさせたあと、小学2年生の兄に『椅子からずり落ちないように隣に居てあげて』とお願いをし、目の前のキッチンで洗い物をしてました。 

まだずり這いが上手く出来ないため、寝返りからの寝返りだったりとコロコロと転がって行ってしまい、頭を打たないかと心配なのとお座りさせておくと、まだたまにひっくり返ってしまう心配と思い、テーブル付きの椅子に座らせていました。

が、洗い物をしていたら泣き始めたので見てみたら椅子についていたテーブルに口をぶつけてしまい出血。

すぐに出血箇所を探そうとティッシュを持ち口を開けたら下2本生えていた2mm程度の乳歯が1本見当たりませんでした。

レントゲンを取ったところ、乳歯が抜けてしまっているといわれました。

乳歯は探しましたが見当たらなかったため、恐らく飲み込んでしまったと思われます。

すごい勢いよくぶつけたわけでも無かったのですが、打ちどころが悪かったんですかね、、、

抜けた方の顎の発達がどれ程悪くなってしまう可能性があるのか
永久歯への影響
何歳くらいになったら入れ歯のようなものをつけられるのか

悪くなってしまう方の顎を少しでも発達良くするために出来ることとはなにがあるのでしょうか(治療だったり、自宅や本人にできることなど)

長文になり申し訳ありません、、
子供にとても申し訳なく、少しでも出来ることをしてあげたいです

こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが…まずいただいた文面から、自責の想いがひしひしと伝わって参ります。
…余計なお世話なら申し訳ありませんが…ご自分を責め過ぎないでくださると嬉しいです。(もちろん取り返しのつかないような事態は避けなければいけませんが)子供に怪我は付きものです。
相談主の性別の欄に「男性」とありましたが…これは、ご相談下さった保護者さんが男性ということなのでしょうか?もしそうでしたら…いまの時代「そんなの当たり前だよ!」なのかも知れませんが…昭和オヤジの私から見れば、男性が一所懸命子育てに参加している、というだけで本当に素敵で立派だなと思えます。令和のパパのあるべき姿ですね。お子さんが物心ついた時、試行錯誤しながら奮闘するパパ(もし私の勘違いで、女性の保護者さんならママでしょうか)のお姿は、きっと自慢になっていることでしょう。そんなにも後悔されているお気持ちだけで、本当に優しさの伝わってくる、素敵な保護者さんです。感動しました(もし女性の保護者様でも、そのカッコ良さ、素敵さ、私からのリスペクトには何の変わりもございません、念のため)。
さて、本題ですが…まず歯の外傷には、大きな衝撃の加わった時の代表的なものには「破折」と「脱臼」があります。
ざっくり申し上げるなら、破折は歯が折れること。脱臼は、歯が骨から緩むor外れることです。傾向としては、歯の成長が一定以上終わっていれば破折。歯が生えてくる最中や、乳歯の場合なら生え替わりの時期が近い場合、脱臼に至ることが多いと言えます。
「歯が生えてくる」過程というのは、言い換えれば「歯の根が伸びる」過程といえます。根が伸びる力で押し上げられることで歯は生えてきます。ざっくり3年ぐらいかけて根が伸び切ります(植物に例えれば、いわば「根が張る」状態とお考えください)。
乳歯と永久歯の違いは、永久歯は、生えたら原則(健康を維持できれば)根はそのまま。かたや乳歯は、伸び切った後吸収…永久歯に場所を譲るために、また三年前後かけて根が溶けていきます(「吸収」と呼ばれる現象です)。先に例えました植物でいうと、長年伸び続ける植物と、一年で入れ替わる草もありますよね。
このため、永久歯なら根が張るまでの過程、乳歯はそれに加えて根が吸収する過程で外傷を受けると、本来の機能を維持するべき期間を全うせずにに抜け落ちることがあります。
0歳児ですと、ほぼ生えたての乳歯ですから、おそらく根がとても短かったと推測され、そのため脱臼してしまったものと考えます。
ご質問の「どれほど顎の発達に影響を与えるのか」については、今回の外傷は前歯とのことですので、他の歯が順調に生えそろい左右でなるべく均等によく噛めていれば、影響は少ないと思います。
永久歯への影響も、今回の外傷だけが原因でよからぬことが起こる可能性は低いと思われますが…乳歯には、将来の永久歯の場所取りの役割がありますので、その永久歯が生えてくる時期には再度確認が必要かと思います。萌出時期までの間も、歯胚…骨の中に歯の卵にあたるものがあるか、またその成長の確認も、必要な際には歯科医院でしてもらうとベターでしょう。
「入れ歯のようなもの(保隙(ほげき)装置…いわばスペース確保装置です)」は、状態や、歯科医院によっていろんなお考え様もあると思いますが、前歯であれば、必ずしも適用しなくてもいいかも知れません。乳歯列の段階では、お隣の乳前歯が傾いたりする可能性はありますが、永久歯への影響となると、定期的に歯科医院で診てもらって、必要に応じて…と当院としては考えます。保隙を行うとしても、時期は現時点での判断が難しいという側面もあります。お子さんの成長は歯の生え替わりだけではなく、骨も成長し続けるからです。特に幼少期は第一次成長の時期ですので、頭頸部が盛んに成長します。お口の中の形も一定ではなく、歯並びのアーチ(=顎の骨)もどんどん大きくなるため、たとえ保隙装置を入れてもタイミングによってはすぐ合わなくなってしまう可能性もあります。ミクロでは歯のスペースは確保できても、マクロでは顎の成長に悪影響を与える懸念もないとは言い切れません。
いずれにせよ、現時点ではあまり心配され過ぎないでください。今後離乳食〜普通食に移行する過程で、喉に詰まらせないように配慮しながら、なるべく大きく、柔らか過ぎぬような食べ物を与えてあげ、よく噛む=顎の成長を促進するよう心がけてあげることは、ご心配を軽減する一つの有効な手段と考えます。そして、たくさんいろんなお話をしてあげてください。
子育ては、ある意味…どんな仕事でどんな偉業を成し遂げるよりも大変なライフワークだと思います。ですが、一つ言えることは…こんなご相談を下さる素敵な保護者さんに育てられたお子さんもまた、きっと素敵な…立派な大人になることでしょう。大変な一方、一番幸せな時間でもありますね。やがてお子さんが無事に成長され、今回の出来事がいつか思い出の一つになる様お祈り申し上げます。私も、陰ながら応援しております。
では、本当にお大事になさってくださいね。

 

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