こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが…直接拝見しておりませんので断定的なことは申し上げられませんが、診て下さってる先生のご診断を参考に、お悩みの原因は「粘液嚢胞」であるという前提でお話をさせていただきます。
結論を最初に申し上げれば、「しばらく様子を見ましょうとおっしゃるかかりつけの先生のお考えは妥当な可能性が高く、それで解決しなかった場合の最終手段としては外科的に切除してしまう」、ということになるかと思います。
まず「粘液嚢胞とは何か」からおさらいをさせていただきますね。唾液腺(唾液を作る工場のような器官)からお口の中に唾液を出すパイプの出口が何らかの原因で壊れ、詰まり、そこに唾液の水風船が出来てしまい、水ぶくれのような不快な状態が続くことですね。
裏を返せば、細菌に感染しているわけでもなく、腫瘍のようにそれそのものが患者さんの健康を害するようなものでもない…ただ唾液という無害なものが貯まっているだけ、ということになります。
一度起こると繰り返すことも多く、かかってしまうとご本人にとっては邪魔っけでしょうがない厄介者ですが…経過を見ていけば治ることもしばしばあり、煩わしさ以外に害がそうないことから、外科処置の緊急性は低い病変です。
またその為害性(病気が患者さんにどれだけの害を及ぼすかという意味です)の低さから、外科的に取るにしても最小限の範囲になります(逆に癌のような悪いものなら、大きく取らざるを得なくなります)ので、少し取り残したところから再発、ということもたまにあります。
その時はまた取り直せばいいといえば簡単そうですが、何度も同じところに外科処置を行うのは、いいことばかりではありません。弊害が生じることもあります。
そういったケースで1つ考えられるのは、口唇のつっぱり感です。
外科処置を行うと、多かれ少なかれその部分は元とは違う組織になります。
口唇なら本来柔軟性を持った「上皮組織」というもので覆われていますが、何度も外科的に触ると特に、そこに「繊維組織」という、やや柔軟性に劣る組織が増える可能性が生じます。もしもそうなると、少し違和感が残る場合があります。
それは医学的には大きな問題ではないのですが、「違和感」がどれだけ「不快」かというのは個人差があり、人によってはとても気になるものになる…かも、知れません。
ですので、先に申し上げたように腫瘍や重篤な感染症などで、「外科的に取らなければ患者さんご本人の健康が大きく損なわれることになる可能性が高い」ケースでは、不快感等がたとえどれだけ残ろうとも、そのことを事前によくご理解いただいた上で、積極的に外科処置をお勧めすることがありますが、本ケースにおいてはあくまで最終手段という考え方になるかと思います。
害の小さい異常で「自然に治る」可能性もあるものを、「外科的に治す」ことと引き換えに、違和感が生じることを懸念するためです。
もしもなかなか引っ込まなかったり、どんどん大きくなったり、何度もひいては繰り返すということならば、外科処置という手段で解決を試みるのも有効な手立てだと思われます。
診て下さってる先生とよくご相談の上、納得のいく結果がなかなか得られないようでしたら、当院でも全力でお力にならせていただきます。
では、本当にお大事になさって下さいね。 |