こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが…直接拝見しておりませんのであなた様の親知らずに何かリスクの高い条件があるのかも知れませんし、診て下さってる先生のお考えもあるのだろうということは、初めに申し上げておきます。
その上で、私の考え、当院での実績についてお話をさせていただきます。
まず、その親知らずが、抜歯が必要な状態にあるかどうか、という診断が必要です。骨の中に完全に埋まっていて、細菌の侵入経路が全くないのであれば、現時点では抜歯の必要はありません。
ですが、そうでない場合。中途半場にお口の中に一部出ていたり、歯茎の真下にいる場合は、抜歯の適応となる可能性があります。親知らずには、このような状態のものが多い、と言えます(余談ですが、萌出中の歯では、歯並びに悪影響を与えそうな場合にも、抜歯が好ましいと判断される時があります)。
痛みが出るかどうかもその判断材料の一つと言えますが、痛みがなければ抜歯の必要がない、とは、必ずしも言えません。
親知らずに限らず、もし痛みが出た場合のみ治療が必要なのであれば、定期検診には意味がないことになります。痛みが出た時だけ歯科医院に行けばいい、ということになってしまいます。
当然、そうではありません。痛みがなくても病気になっている、ということは、多くあります…というより、大人の口腔疾患は、殆どがそうと言えます。だからこそ、日頃の検診が重要なのです。
30代の抜歯はリスクが高いのか、という点ですが…抜歯という処置自体、どんな年齢の方にもリスクは存在します。ただ、それは「お薬一粒飲んでいただくにもリスクはある」という意味です。
医療行為を行う際には、大なり小なりリスクは生じます。ですがそのリスクをはるかに上回る利益が患者さんにもたらされると医師・歯科医師が判断した場合に、適切な治療がなされるということです。これは、お薬を処方することから親知らず抜歯、インプラントオペに至るまで、同じです。
少し話が少し逸れてしまいました。
30代以上での抜歯のリスクですが…当院では年間で数百本に及ぶ親知らず抜歯を行なっており、あなた様と同世代の方の親知らず抜歯だけでも、少なく見積もっても毎年 100本/年を超えます。
その当院の抜歯実績に関して申し上げれば、もう少しお若い年代の方と比べても、回復が悪いということはありません。
当院の患者様は、厚く信頼下さってる方が多く、そのようなずっと検診で通い続けて下さってる方のお口を、親知らず抜歯から数年後にレントゲンやCTを撮影してみても、抜歯前より骨は回復しています。患者さん本人にもその状態をお見せし、「おお!抜いてもらってよかったです」と喜んでいただいております。
親知らずも、それ以外の歯も、向きや位置の違いこそあれ、歯は歯です。抜歯後の周辺骨の回復のメカニズムは、基本的に同じです。
もしも「30代以上で抜歯をしたら、十分に骨が回復しない」のであれば、30代以上の方にはインプラントのオペもリスクが高いということになってしまいます。しかしながら実際、歯を失ってインプラントオペを受けられるのは、殆どが30代以上です(ちなみに当院でインプラントオペをされた方の最高齢は、80歳を超えておられます)。
親知らずを抜歯したら歯周ポケットができて、隣の歯に悪影響が出るか、という点ですが…上記の、「完全に骨に埋まっている状態」を除き、むしろ親知らずがあることで、歯周ポケットは深くなる傾向が高いです。「親知らずが好ましくない位置にあることで、歯磨きというパトロールは入らないのに、虫歯菌や歯周病菌だけが侵入できる空間がある」ことになるからです。
もしも痛みが出るまで抜歯を待っていたら、むしろ細菌の魔の手がその手前の歯の周囲を侵し、最悪の場合親知らずだけではなく、手前の歯まで抜歯になりかねません。運良く手前の歯は抜かずに済んでも、それこそ深い歯周ポケットが残ってしまったり虫歯のリスクも高くなります。
以上のことから、私の意見としては、親知らず抜歯を、むしろ早めに行う方が好ましいのではないか、と推測します。
診て下さってる先生が抜歯に前向きではないとしたら、先生の信念に基づいて抜かない方がいい根拠がおありか、あなた様の親知らずに、何らかの通常の親知らずとは違うリスクが存在するか。または、先生はきっとご説明も一生懸命して下さり、あなた様も十分ご理解されてるとは思いますが、お話の解釈に行き違いがあるということも、ないとは言い切れません。
ご不安でしたら、もう一度、納得いくまで先生とご相談されてはいかがでしょうか。
私も患者さんに「理解できずに治療を受けられると、いい結果が出てもご納得、ご満足いただけません。それはご本人はもちろん、施術する歯科医師にとっても不幸なことです。術前に不安や心配、納得できないことがあったら、100個でも1,000個でも質問なさってください。全て喜んでお答えします」と申し上げています。
相談されてされてし尽くして、それでも納得されることが難しかったら…もし当院、私とその仲間達でよければ、全身全霊・全知識と技術でお力になります。
少々遠方ですが、同じぐらいかもっと遠いところからでも、沢山の患者さんがお越し下さっています。いつでもご連絡下さい。
少しはお力になれましたでしょうか。そうなれたことを、願って止みません。
では、本当にお大事になさって下さいね。 |