こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが...一度、内容整理させていただきます。
上下各々、4本ずつのインプラントを入れる。
並ぶ歯の本数は、上下8本ずつである。
2箇所のソケットリフトを行う。
このオペを、鎮静下で行う。
費用は、590万円である。
いつもメールでのご相談いただくと、...皆様 一生懸命、状況を伝えて下さるのですが...直接拝見していないわけですから、想像力と論理を働かせ、できるだけ可能性があることは全てお答えするよう心がけているのですが...今回ちょっとどんな治療かイメージが湧かず、一度お答えを作っていたのですが、送信を控えておりました。
以下に回答させていただきますが、それは一つの意見であり、診てくださってる先生の方針を否定する意図はありません。まずこの点をご理解ください。
昨日、日曜ですが(このメールはシステム上、メールを受け取るのにも送信したメールが質問者の方に着くのも、日単位でタイムラグがある場合があります、ご了承ください)、インプラントの勉強で愛媛に行っておりました。ちょうどその予定があったものですから、一度勉強で知り合った先生方にも一緒に考えてもらった上で回答させていただこう。こう思い、実際そうした上で、回答させていただきます。
メールをいただいた時、初めはオールオン4のことかと考えました。これは上下に4本ずつのインプラントを入れる方法ですので。ですがこの場合、通常ソケットリフトは行いません。そして並べる歯も、8本ではなく、12本です。奥側2本のインプラントを傾斜埋入(後ろ側に傾けて入れることです)し、少ない本数でより後ろまで、より多くの歯を並べます。
ソケットリフトは、通常行いません。
鎮静法の費用は歯科医院によって違いますが、それを除いて、相場では400万円?450万円ぐらいと思われます(四国での勉強会で周りの先生に確認した金額ですので、奈良のような都会では異なる可能性があります)。
もしいただいたメールの内容にお間違いがなかった場合...真ん中から数えて、左右に4本ずつの歯が並ぶ、ということになります。よほど大きな歯を並べない限り、小臼歯までしか歯が並ばないことになります。
その場合、噛み砕くことはできるのですが、段々噛み合わせが前寄りにずれることがあるかも知れません。
そして、奥歯を噛み合わせる筋肉、咬筋という筋肉があまり動かないため、ほうれい線が下がる(すでにかみ合わせの崩壊で下がっている場合は、治療後も改善されない)可能性があります。
奥歯の噛み合わせの安定が不十分になり、顎の関節に影響が出る可能性も、否定はできません。
上記オールオン4も、最近の勉強会では、上下あと2本ずつ入れたほうが、より長期的に安心できる治療である、というトピックスも出てきていますが、その場合でも、いま提示されてる金額の範囲内でおさまるかも知れません。
また、金額的なことでは、インプラントを最低限の本数入れて、それを留め金として、薄く、できるだけ小さな入れ歯をカチッとはめる、という治療もあり、その方法ですと、おっしゃってるローンで粗まかなえる可能性もあります。ですがこの場合、嘔吐反射の程度が問題になってはきます。
きっと診てくださってる先生も、素晴らしい先生であると思います。私や周りの先生が、いただいたメールから想像できない、または勉強不足で知らない画期的な治療をされている可能性も、きっとあると思います。
ですので、あくまでセカンドオピニオン的な回答、またはオルタナティヴとして、頭の片隅に置いていただければいいと思いますが...診てくださってる先生に、「費用の工面の問題があるので、一度保留にさせて欲しい」と申し出て、ネットで奈良でオールオン4を行っている先生、または別のいい治療でもいいですが...を探し、訪ねられてお話をしてみる、というのも、一つかも知れません。
それは別に失礼には当たらないと思います。誰のことでもない、患者さんご自身のお口のことです。悩まれて当然です。そうそう何度も経験されることではなく、入れてもらった歯で、その後 何年?何十年の、「幸せ」とか「不幸せ」の、人生のパズルのピースの一つが埋まるのですから。そのピースの大きさは、患者さんが思っているより、大きなものだと思います。
患者さんが、「やってもらって、よかった...」そう心から思えることが、一番大切です。
実際、当院でもカウンセリングの後「ちょっとお金のこともあるし、考えさせてくれ」とか「家族が他の歯科医院に通っていて、そこもいい先生だと聞いているので、そちらでも話を聞いてきてみたいが、気を悪くされないで欲しい」とおっしゃられる方もいらっしゃいます。私は全く腹は立ちません。どこで治療を受けられるか、どんな治療を受けられるか、患者さんが選択されたお考えが一番だと思いますので。
ご参考になりましたでしょうか。そうなれば幸いです。
では、本当にお大事になさってくださいね。 |