三木照久様
初めまして。
ホームページを拝見しまして、先生に相談させて頂きたくメールを送りました。
昨日、保険治療内でできる金属の被せものを、歯にかぶせる治療をしてもらいましたが、麻酔が切れた後、水を飲むと被せものをした歯全体がしみるように痛みます。これは自然に治るものなのでしょうか?また、痛みが引くのにはどのくらいかかるのでしょうか?
先生は被せものをする前に、「消毒します」と言ってましたが、被せものをする前に、事前に歯全体のクリーニングするなどといった口腔内の清掃は一切行いませんでした。周りの歯が完全に綺麗でない状態で被せものの治療をしても、その後に悪い影響はないのでしょうか?
ちなみに、治療を受けた歯は、25年前に虫歯の治療で歯を削って、削った歯に金属の被せものをかぶせて銀歯にして、ずっとつけていたものです。先生に被せものに隙間が出来て食べカスが詰まっているから新しくしたほうがよいと言われて、安い保険診療の治療をしてもらいました。
治療後、痛みが治まらないようでしたら、診てもらった方がいいのでしょうか?
お時間のあるときでけっこうですので、ご返答願います。 |
こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
御相談の件ですが、まず痛みがひくかどうかは、当院で行った治療の場合は通常ひいてくることがほとんどです。正確な確率は出していませんが、あなた様が今回受けられたと思われる処置と同様の処置は当院でももちろん毎日複数行っているわけですが、それで「冷たいものを口に入れるとしみる」症状がずっとひかない方は、いても年に1人か2人ぐらいではないでしょうか。
ただし、あなた様の該当する歯の状態、今回どの程度の深さ・大きさの処置を受けられたのか、またその手技(患者様からは判断はなかなか困難と思われますが、ただ単に歯を削って詰めているだけのように見えて、ちょっとしたテクニックの違いの積み重ねによって、同じ歯の治療でも全然その歯の運命が違ってくることもあります)
を拝見しておりませんので、断定的なことは申し上げかねます。
単に詰め物をしたというだけでも、そのノリ付けに使った歯科材料の刺激によって、おっしゃるような症状が出ることもあります。引くかどうかの判断は、数日から数週間といったところではないでしょうか。その間、極端に冷たいもの(というと、今の季節お口に入れたいもの…キンキンに冷えたジュース、ビール、アイスクリーム等…が該当してしまいますが)をその歯の周辺にはあまりまわさないようにしていただいた方がよいと思います。当院の患者様にも、そのように指導
しています。
次に、「詰め物の治療をした際の消毒」についてですが、これもどのような消毒を行ってもらったのか、詳細は分かりませんが、これに関してはあまり問題ないのではないかと考えます。下に雑菌がない状態で詰め物をしたのであれば、事実上それ自体は問題にならないのではないでしょうか。それより重要なのは、その歯の削り方(含め、治療の仕方)や詰め物そのものの精度、金属の品質等だと思われます。それらが良くなければ、また再治療する必要性が高くなります。消毒をどこまで行うのかは、治療の大きさや状態によると思います。たとえばインプラントの手術をする場合なら、当院では術前、前日までに歯石のクリーニングなどは徹底的に行い、当日はそういったハードなクリーニングを行うと術野に雑菌が入るリスクもありますのでそれは避けたうえで、施術直前に、お口の中全体からお口の周辺まで念入りな消毒を施したうえで、全て完全滅菌してパックした器具を用い、その上で術者はこれまた完全滅菌した手術着とグローブを身につけて、さらに患者様にはお口以外を完全に覆う滅菌布(手術着と布は使い捨てで、これらだけで数万円します)をかけて手術に臨みますが、これでも極端な話、患者様の全身の消毒まではできていません。かなり話が逸れました、申し訳ありません。申し上げたかったのは、どこまでもやろうと思えば果てしないですし、どこまでやるかは処置の大きさによる、ということです。
蛇足が多くなってしまいましたが、「治療後、痛みが治まらない場合」は、もちろん第一に診てくださった先生とよくご相談されるべきだと思います。お節介ですが、診ていただいている先生と、コミュニケーション不足を感じていらっしゃいませんか?今は、医療はインフォームドコンセント、「説明と同意」の時代です。私は「どんな病気に、どんな治療を行ったか」はもちろん大事と考えていますが、その必要性を患者様に理解してもらい、「私の口の健康、ひいては全身の健康が、そんなにも損なわれていたんだ!治療を受けておいてよかった」と思っていただくことは同じぐらい重要だと思っています。それができていなかったから、私達は患者様達によかれと思ってした治療でも、「削られた」「抜かれた」と、患者様に悲しい思いをさせてきた歴史があるわけですから。歯医者は嫌われ者ですが、実は私達、患者様のことが大好きなんです。同じ治療をするなら、「この先生に、この治療をやってもらってよかった」と言ってもらいたいんです。疑問に思われながら治療を受けられても、患者さんはもちろん私達も不本意です。何か不安なことがおありでしたら、どんどん積極的に歯医者さんに聞いてみてください。あなた様が納得して治療を受けられることが、何よりだと思います。
では、長々と返信すみませんでした。本当に、お大事になさってくださいね。 |
三木 照久 様
大変詳しく丁寧に説明が書かれたメールを返信して頂き、とても参考になりました。
書かれていた通り、治療をしてから2週間が経過して、痛みも次第に引いてきました。
またご多忙の中、治療に関しての様々なアドバイスも頂き、このように事細かに返答して頂いてどうもありがとうございました。
お礼を申し上げたかったので、再度メールを差し上げました。
この度はどうもありがとうございました。
それでは失礼致します。 |