現在アメリカに在住しております。10日程前から上の犬歯の隣の大き目の歯が痛み出し歯医者に行きました。
現在アメリカに在住しております。10日程前から上の犬歯の隣の大き目の歯が痛み出し歯医者に行きました。 15年程前に日本で神経を抜いている歯で、レントゲンを撮りましたが虫歯ではないので別の先生の所を紹介されました。 原因は根の周りが炎症を起こしているのと、根が少し欠けているとのことでした。 歯茎を切って炎症部分を治療するか、抜歯してインプラントと言われました。 歯茎の方はまた再発する恐れがあるので成功率が33%、インプラントは99%とも言われたので、インプラントの予約を取ったのですが、日本人の先生のご意見を伺いたくご相談させていただきました。 よろしくお願いいたします。 |
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こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。 ご相談の件ですが、我々日本人の歯科医師と説明の仕方、ニュアンスが違うので少々状態が把握しにくいのですが、歯の根の先に膿、またはのう胞ができている=根尖性歯周炎のことでしょうか。それとも、歯が少し欠けている、歯茎を切って炎症部分を治療するということから、歯の破折と歯周炎でしょうか。
状態がはっきりわからないので、前者の「33パーセント」のほうがどういった治療かはわかりませんが・・・後者のインプラントの成功率は事実です(※メーカーが謳っている成功率はあと1〜2パーセント低いこともありますが)。また、一般的にはそれにまさる成功率をもつ歯科治療はありません。
傾向でいうと、日本の歯科医師なら保存的治療を勧める方が多いかも知れません。それは日本人のメンタリティによるところが大きいと思われます。将来的にあまり長くもたない歯でも、患者さんが抜くのを嫌がることが多いからです。対して米国の場合は、「抜く、抜かないという問題より、長く健康を維持できるほうの治療を受けたい」という、日本人よりは合理性を求める患者さんが多いのではないでしょうか。歯科医師のほうも、「治療したのに長くもたなかった」というのではすぐ訴訟を起こされますので、感情論より理論的選択をする傾向にあるようです。また、日本には国民皆保険制度があるので、保険の範囲の治療なら多数回治療を受けても経済的に負担が少ないため、「ダメになったらその時また行けばいい」と考える患者さんもいらっしゃるようですが、米国は自分で保険に加入してなければ全額自己負担(治療費自体も不当に安い日本とはケタが違います)、加えて保険に加入していても降りるかどうかの審査が厳しいこともあり、おいそれと「悪くなったらまた…」というわけにもいかないようですね。
余談ですが先日ちょうど、海外の医学雑誌などにも論文を出してらっしゃる先生とお話しする機会に恵まれましたが、その先生も「日本(の歯科医師)は歯を抜かなさすぎる」とおっしゃっていました。状態の完全に把握できない部分がありますので断言はいたしかねますが、論理的、かつ訴訟を嫌がる米国の先生のおっしゃることですから、合理的選択なのではないでしょうか。
御参考に少しはなりましたでしょうか。では、本当にお大事になさってくださいね。 |
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三木照久歯科院長 三木照久 様
ご丁寧なメールを、本当に有難うございました。アメリカの医療事情から考えましたら、先生のおっしゃることが大変理解できました。 所で、今回の治療の件ですが、後日談があります。 たまたまセカンドオピニオンを聞けるように取り計らってもらい、診察を受けました。 もう一度レントゲンを撮り直し診察を受けた結果、根に何も問題が無いとのこと。その数日前からかなり痛みが治まっていたのですが、炎症も写っていませんでした。 歯茎を入念にチェックしていただいた結果、根が欠けているとは考えられず、噛み合わせに問題があるのでは、ということになり、上下の詰め物を削った結果、痛みが取れました。歯茎が敏感な状態になっているので数日は違和感がありましたが、今は全く痛みもなく過ごしております。炎症は弱っていた歯茎から細菌が入ったのではということでした。
最初に行った歯医者は、抜きたがることで有名で、支払いに関しても評判の良くない歯医者だと後から色々と耳にしました。セカンドオピニオンの先生は、抜くまでにもっと色々と治療する手段があるという考え方で、とても信頼できました。その上、今回は無料でした。 最初の先生は、直接一度も歯を診察せず、レントゲンだけで診断していたので、どうなんだろうと思います。 今回は運良く救われましたが、アメリカでも、歯医者選びを間違ったらいけないと痛感した次第です。
この度は、本当に有難うございました。 海外に住む身としては、この様なサイトの存在は、大変心強いものです。 今後のご活躍をお祈り申し上げます。 |
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