右下の親知らず虫歯にはなってないのですが抜くべきなのでしょうか?

右下の親知らずが以前より歯茎から出てきています。痛みはありません。以前歯医者で横向きに生えていると言われるました。虫歯になりにくく、永久歯になってから虫歯にはなってないのですが抜くべきなのでしょうか?
こんにちは!三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが…親知らずそのもののお話の前に、「お口の病気」について説明をさせて下さい。
まず、お口の2大疾患と呼ばれる病気があります。齲蝕(うしょく)…俗に言う虫歯ですね。それと、歯周病です。
齲蝕はご存知の通り、歯が齲蝕菌に感染し、歯が溶け、穴が空く…急性症状が発現した場合、強い痛みを惹き起こすこともある病気ですね。それ故に、患者さんご本人にも比較的見つけやすい病気です。
歯をお家に例えると、「齲蝕菌」という災害がやって来て、壁や屋根に穴が空く、最悪の場合、お家(歯)そのものが崩壊する…そんな病気です。
一方歯周病は、「歯周病菌」という別の災害に見舞われ、一見お家(歯)は何ともなくとも、徐々に、気づかぬ内に、地盤沈下・土砂崩れ・液状化…地盤に相当する歯槽骨が破壊されていく病気です。こちらはよほど進行しないと、ご本人にはなかなか自覚しにくいことが多いです。ですので、気付いた時にはかなり酷くなっていることも多々あります。
どちらも歯を失う理由になる上に、血行や呼吸・飲食等を介して全身の臓器・器官に感染し、様々な関連疾患を持つ病気です。
虫歯は、あなた様もご自覚されているように、減少傾向にある病気です。
他方歯周病は、今でも「人類が最も多くかかる感染症」であり、日本でも最終的には7割以上の方が感染します。
さて、親知らずのお話ですが…横向きでも縦向きでも、中途半端に生えた親知らず…さらに咬合=噛み合わせもない親知らずは、咀嚼することで自動的にお掃除する(自浄作用と言います)こともこともなく、しっかりと歯磨きをすることもできないため、生え方も噛み合わせも正常な他の歯に比べ、不衛生な状況に晒されていることが数多くあります。
そのため、たとえ虫歯の少ない方でも放置すると急速に虫歯が大きくなったり、局所的に歯周病が進行したりする傾向が強いと言わざるを得ません。
加えて…ほとんどの親知らずは手前の第二大臼歯と接触した位置にあり、その間に細菌が繁殖することで、無自覚のうちに虫歯や歯周病が進行するのを放置すると、第二大臼歯も感染の危機に晒されます。
当院では膨大な数の親知らず抜歯を行なっておりますが、一見歯茎から見えていない親知らずでさえも、歯茎の下で虫歯になっていたり、多量の歯周病菌が内部で繁殖し、歯周病が進行、最終的に抜歯した親知らずの周囲にベッタリ歯石が付いていた…などということは頻繁にあります。
最近「親知らずが時々腫れるから」と新患でお越しいただいた方にも、正にその通りに病魔が侵行し、手前の歯まで抜歯せざるを得ない可能性の生じた方がいらっしゃいました。
ここまで酷くなっても、自覚症状がほぼないことも多々あります。
あなた様のご年齢ですと、今ならまだそこまでの最悪の状態まで至っていない可能性が高いと推測されます。抜歯するべきかどうかは直接拝見しての診断になりますが、現時点で是非診察して差し上げたいと思います。
私とその仲間、全員全身全霊で、お力にならせていただきます。もしお気持ち決まりましたら、お電話か院内受付にてご予約を頂戴できればと思います。
では、本当にお大事になさってくださいね。