徳島県,徳島市,歯科,歯医者

2017年10月22日　埼玉　４４歳　女性

親知らずの抜歯でご相談です。
上下左右４本とも親知らずがあります。
左下の親知らずがほんの少し顔を出した状態で生えています。今年８月に唾を飲み込む時にその辺りが引っ張られるような気がして歯科医院で診てもらいました。消毒と化膿止めをもらい数日で治りました。が、なるべく早めに抜いた方がいい、根が深いので大学病院での抜歯を、と紹介状を用意してもらい先月受診しました。
CTの結果、根が神経を囲うように（完全に接しているかは聞いてませんが）生えていて動脈と接しているそうで、抜歯は出来るが確実に麻痺が残ると診断されました。
ちなみに左上は少し顔を出した状態で真っ直ぐ生えているようで、右上下は歯茎に埋まっていて真横を向いています。CTは撮っていません。
また、今現在は抜歯するかしないかを考え中の段階で、３日位前からその左下の親知らず辺りから膿んでいるような味がしてきました。
麻痺が残るということで決断出来ず恐怖でしかありません。何も手につかない日々を送っています。

抜歯すべきなのでしょうか？
確実に残ると言われた麻痺は一生続くのでしょうか？
また重い症状が出る傾向がありますか？
早めに治療すれば麻痺の軽減を期待できますか？

来月始めに大学病院へ行きますが、その前に三木先生のお話をお聞きしたくメール致しました。よろしくお願い致します。

こんにちは！三木照久歯科、院長の三木照久です。
ご相談の件ですが…直接拝見しておりませんので、断定的なことは申し上げられませんが…その親知らずは、かなり神経に近いことは間違いないと思われます。
また、歯の根の位置や形が、顎の骨の中を走る重要な神経に、細心の注意を持って抜歯を行わないといけないようなそれであることも推測できます。
そのような場合、大なり小なりの麻痺が起こる可能性は、そうでない場合に比べ、高いということは申し上げざるを得ません。
ですが…だからと言って、必ず麻痺が起こる…かどうかは、抜歯してみないと分かりません。大学病院の先生がおっしゃっているのは、抜歯の際に比較的条件のいい親知らずに比べれば、そのリスクはだいぶ高い、ということではないでしょうか。
術後の麻痺の大きさも、抜いてみないと程度は何とも申し上げられません。
ですが…視点を変えてみますと、親知らず抜歯の際には、条件がよくとも、麻痺のリスクは0では有りません。
その可能性は極めて低そうだというケースで発現してしまうこともあれば、これは出るかも知れないなぁ…というケースで、何ともなかったという場合もあります。
当院の過去10年、上下合計数千本のケースの中でも…麻痺が出たケースは、もちろんあります。ですがほとんどの場合、5日〜半年以内で症状・範囲は軽減・縮小し、完全に回復、または日常生活に支障のない程度まで回復をみております。
抜歯後の麻痺という現象は、もちろん誰より患者さんご本人、そしてその方を健康を害するリスクから救ってあげたいと毎日心から願い治療に望んでいる私達医療従事者にとっても、起こって欲しくないものです。
しかしながら、親知らず抜歯に限らず、全ての医療行為には、大なり小なりのリスクというものは伴います。
私達医療従事者は、いつも(どんなに可能性が低いそれでも)その医療行為のリスクの大きさと、患者様が怪我や病気で、いまどれだけ健康リスクに晒されているか。全ての瞬間、自らの持つ全知識を動員し、秤にかけて、真剣勝負で診療に臨んでいます。
治療を受けていただいた方が、受けられない選択をされた時よりも、メリットが大きい可能性が高い…それが、治療という行為です。
いただいたメールからは、リスクはもちろんあるけれども、治療を受けられた方が、あなた様にとってのメリットが大きいように推測されます。
治療によって生じ得るリスクに対する恐怖心。もちろんよく分かります。
ですがそれだけではなく、それを受けない場合、短期的・中長期的に、どんな健康リスクが待ち受けているのか。
言い方を変えれば、治療後に、麻痺のリスク以外に、ご自身がどれだけ「ああ、抜歯してもらってよかった…」という喜びが得られるのか。
まずはその点を、納得されるまで、担当の先生に相談されてみてはいかがでしょうか。
ご納得のいく結論が出て、あなた様に笑顔が戻る結果が得られることを、祈って止みません。
では、本当にお大事になさって下さいね。

三木先生

昨夜はメールをありがとうございました。
とても親身に説明してくださり、思わず涙が出ました。
本当にありがとうございました。
まだ決断するには時間が必要ですが、少しだけ勇気が出てきた気がします。相談してよかったです。

三木先生もお体に気をつけてこれからもご活躍ください。
ありがとうございました。